クラリネットの大切な一部であるマウスピース 。実はこのマウスピース、意外と寿命が短いことや洗い方で音程が変わるのを知っていますか?
リガチャ ーとリードを毎回つけて外して、口にも直接触れますから、他のパーツよりもいろんなものに触れています。また、実は他のパーツとは材質も違い、とてもデリケートです。
そんなマウスピース とうまく向き合いながら、正しい音程で綺麗な音色を保つためには、
- マウスピース の寿命を知る
- 洗い方で音程が変わる理由
- 長持ちさせるお手入れ方法について
この3つは欠かせないポイントです。
この記事を書いているクラリネット歴20年を超えた私が、過去の経験談も交えて詳しくご紹介します。
目次
クラリネットのマウスピース の寿命は何年?
マウスピース の寿命は意外と短く、毎日長時間吹く人は半年から1年くらい、毎日吹く方ではなくても2〜3年が寿命とされており、このスパンで買い替えするのが望ましいようです。
思ったよりも寿命が短いな、と思った方もいるのではないでしょうか。
しかし、いい音色を保つためにはこのくらいのペースで取り替えた方が良いようです。
ちなみにマウスピースの多くは、「エボナイト」というゴムの一種から製造されています。
これは、万年筆のボディや軸も部分に使用されたり、ボーリングのボールにも使用されることもある、耐久性に優れた硬質のゴムです。
プラスチック製のマウスピースなどもあり、エボナイトよりも安価で手に入ります。
これはたとえば新入部員が初めて楽器を口にする際、マウスピース とバレルだけの状態で練習をしたりしますが、そのような状態ならこれで十分です。
よく部活でも使われるバンドーレンや、ビュッフェ・クランポンのマウスピース もこのエボナイトでできています。
長く続けたい方や、しっかりとした音質を目指していきたい方には、耐久性にも優れた、エボナイトでできたものを選ぶことをお勧めします。
寿命のチェック方法
実際、自分のマウスピースはまだ使えるのか?とわからなくなる人もいるのではないでしょうか。
そこで、簡単に自分でもできるチェックポイントをお伝えします。
- 先端部分は欠けていないか
- バレルとのジョイント部のコルクは剥がれていないか
- バレルとのジョイント部に欠けがないか
- 傷はついていないか(リガチャ ーが触れる部分は特に)
- よく落としていないか?
- マウスピース 内部に取れないこびり付きはないか
当てはまるものはありましたか?
一つでも当てはまるなら、買い換えた方がよいと言えます。
私の場合、部活で毎日吹いていた頃は1年で買い替えました。
初めは、バンドーレンのB40というモデルを購入し、1年程度吹いた頃、セルマーの10Sという楽器を購入したため、それについていたマウスピースに変えました。
当時の私にはマウスピース が消耗品であることを知りませんでしたが、2年くらい吹いたあたりから変色が目立ち、リードも合うものを探すのが大変になっていたように思います。
ですが、やはりいい音色・正しい吹き方を続けていくなら、上記チェック内容に当てはまる項目があるなら、買い替えはした方が良いでしょう。
洗い方で音程が変わる
マウスピースは洗うものだというのはご存知でしょうか?
部活でやっていた方でも、学校によって洗う・洗わないが分かれるようです。
マウスピース はずっと吹いていると内部に汚れが溜まっていくため、それを放置すると正しく音程が取れなくなります。
同じ吹き方、吹いている場所の温度もそこまで変わらないのに、なぜか音程が取りにくいな・・という時は、マウスピース が汚れている可能性があります。
私が入っていた吹奏楽部では、週に一回くらい洗う、と教えてもらいました。
月曜日から金曜日は朝練(基礎練)+クラブの時間にパート練習。土日は朝から夕方まで合奏でした。
このくらいの練習ボリュームだった私が、当時やっていた洗い方をご紹介します。
具体的な洗い方
洗う時は水道水で、指と綿棒を使って洗えば簡単にできます。学校の手洗い場で大丈夫です。
マウスピースの外側は指の腹で優しく。
内側は綿棒でなるべく力をかけず、細かい部分の汚れを落とす気持ちで洗いましょう。
冒頭に少しお話ししましたが、マウスピースは「エボナイト」というゴムの一種でできています。
意外と柔らかく、爪でがりがりやるとすぐに傷がついてしまうほどです。
水道水の塩素も、長時間触れるのはよくないため、長時間かけて洗ったり、水につけておくなどの行為はしない方がいいです。
また、お湯も、マウスピースを痛めてしまうため使わないようにしましょう。
絶対に毎日洗わないといけない!ということはないようです。
しかし、週に一回など、汚れが目立ってきたかな?という時にサッと洗い、洗った後はしっかり水分を拭き取って、お手入れを怠らないようにしましょう。
毎日のお手入れには
演奏の合間、演奏後にはスワブを通しましょう。
といっても楽器本体用のものだと通りにくく、破損の原因となり、無理に通そうとすると寿命を縮めてしまいます。
でも安心してください。マウスピース用のスワブがあります。
通常のスワブより細くて小さいため、マウスピースを痛めることなく、毎回余分な水分をとることができますよ。
もしマウスピース用のスワブがすぐ手に入らない、持ってないからどうすれば良いの?という方は、私の経験をご紹介するのでそれを試してみてください。
本体に使用するスワブ(購入がまだなら、できるだけ柔らかい素材のものにしましょう)を、バレルとのジョイント部側から紐を入れていき、ウインドウ側から掴めるくらいの大きさが出てくるまでスワブ を通します。
そのままスワブを通し切らずに戻し、また同じくらいまで通して戻す、という方法を取っていました。
特に傷をつけることもなく、内側の水分は取れていましたので、マウスピース用のスワブが手に入らなければ、この方法を試してみてください。
白い汚れの正体
お手入れするにあたり、誰でも一度は「これなに?」と思ったことはないでしょうか。
この白い汚れの正体は、唾液や食べ残しなどから発生した「垢」のようなものです。
間違っても爪でごりごり擦らないようにしましょう。
傷の原因になり、寿命を縮めてしまいます。
この場合は、水で洗いましょう。
経験から分かったこと
部活でバリバリ毎日吹いていた中学生当時の頃は、マウスピースをこまめに買い換える概念がなく、結局二年間くらいはほとんどセルマーを吹き続けていました。
大きな欠けもなく、割れもなく、使うことはできていましたが、徐々に変色はしていました。
きっと音色や吹く労力をベストな状態にするには、買い替えは必要だったのだろうと思います。
きっとマウスピース は悲鳴をあげていたと思いますので、あの頃の自分に教えてあげたいです。
また、中学・高校と部活で活動したあとはブランクがありました。
ブランク明けにまた、そのセルマーを吹きました。
10年以上経ってましたが、音が出ないわけではありません。
でも感覚が戻ってきた頃、さすがにもう一度マウスピース を購入しました。
すると、息が素直に楽器に入っていくのを実感し、リードも選びやすくなったのです。
そこで改めて、マウスピース は消耗品なんだと肌で感じることとなりました。
まとめ
いかがでしたか?マウスピース は意外と寿命が短いことと、洗い方で音程に影響があること、お分かりいただけたでしょうか。
思えばマウスピース は一番過酷なパーツなので、消耗してしまうのは無理もないですよね。
ですが、マウスピース 一つで音色は変わります。
また、相性のいいマウスピース に出会えた時、嘘みたいに楽に音が出せるようになるケースもあります。
この先、あなたのマウスピースが寿命を迎え、買い換える時がきたら、楽器屋にいく時はぜひ楽器を持っていって、たくさん試奏してください。
そして、ぴったりのマウスピースに出会ってください。
これだけでも音質はガラリと変わります。ぜひやってみてくださいね。